雨氷(うひょう)ご存知ですか?

標高1000mの山中湖でも珍しい気象現象です。

その日は夜から天気が崩れ始め、雨のような、雪のような状態で降り始めました。
いつもの冬の状況なので、もうしばらくそのままの放っておいてある程度積もったら雪かきだな。
と思いながらゴロゴロしていました。
外を見ると20㎝くらい積もった様子で、重い腰をあげて雪かきをする為に外へ出たとき、
その光景は目に飛び込んできました。

ん? なんだぁ? 木々の枝先が氷に包まれた状態になってるぞ。
ペンションの街頭を背に、庭の木々を見ると明らかに輝いてる!その時の私はまだ知らなかったのですが、それが”雨氷”という気象現象でした。

街頭越しに、木々を見ると何だか光って見える。?
近づいてよく見ると、枝先が氷に包まれた状態に。

この時は、へ~面白いなぁ!くらいの気持ちと言うか、どちらかと言えば雪かきに必死でその合い間に雨氷を眺めていたという感じでした。(一応写真撮っておいて良かったです)
雪かきもひと段落して眠りについた後、翌朝目覚めるとさらに神秘的な景色に出会う事が出来ました。

澄んだ青空と朝日に輝く雨氷。息をのむ絶景です。

翌朝目覚めると昨夜の雪もやみ、とっても綺麗な青空が広がっていました。
(雪や雨の後は空気中の塵やゴミを洗い流して掃除してくれるので、本当に青が鮮やかになります)
(これは富士山を見る時も同じです。雨や雪の後の綺麗な空気の時の富士山は格別に綺麗ですよ)
私の感動を伝えたくて写真が何枚も続きます。非力なカメラで、どこまでその美しさが伝わるか分かりませんがご覧ください。
雨氷が太陽の光に輝き照らされているもの。雨氷の上に雪が積もり白と無色の氷にツートンカラーになっているもの。冬で枯れ木状態だった木々が一夜にして真っ白い木に変身。そんな絶景です。

雨氷を見るのは初めて経験だったので、私はしばらくその絶景に見とれていました。
お日様がどんどん高くなり、気温があがってきた頃の事です。
し~んと静まり返って物音ひとつしなかった空間に、カラカラ、ピキピキという音がし始めました。
最初は何の音かわからず、まだまだ贅沢な景色に見入っていました。
すると、徐々にその音の間隔が短くなり、次第に断続的に!カラカラ。ピキピキ。ポトポト。
お~そうか!そういう事か!
そうです。もうお気づきの方も多いかと思いますが、雨氷が解け始め、まだ氷が残った状態で枝からするりと落ちる時の音だったのです。
枝から落ち始めた雨氷は自分より下の枝にあたり、その枝の雨氷もその衝撃で枝から落ち、またその下の枝にと。この現象が次々に繰り返しおこっていたのです。
あ~。雨氷の絶景がくずれ終わってしまう!ピキピキ、カラカラ音がひっきりなしに響きはじめる。
あ~。残念ではありますが、この儚さもまたいいじゃないですか。
今度いつ会えるか分かりませんが、自然から頂ける宝物にいつまでも気づける、そして感動できる人間でありたいと思う私でした。

雨氷ができる仕組み

気温が唯一の出現条件であれば、雨氷にはちょくちょく出会えるはずです。
でもそうではありません。なかなか出会えない貴重な現象です。(山中湖と私には)
という事で、最後に簡単に雨氷ができる仕組みについてお話します。
過冷却という言葉を聞いた事はありますか?
通常、水は標準的な気圧のもとでは0℃で凍ります。しかしある一定の条件が揃えば0℃を下まわっても凍らない事があります。この状態を過冷却といいます。
その過冷却状態の雨が木の枝等にあたる時の衝撃で、一気に凍結し氷になります。
それがそのまま枝につく付着氷が雨氷です。簡単ではありますがこれが雨氷ができる仕組みです。
TVの科学番組等で水の入ったコップ等をたたく(衝撃を与える)ことによって、一気に急に氷に変化する様子を見たことある方もいると思います。これと同じ原理です。過冷却の水(雨)が衝撃を加える事によって過冷却状態が崩れ一気に氷へと変化する。これと雨氷が同じ仕組みのようです。

富士山麓の山中湖には、まだまだ沢山自然が残されています。
是非そんな魅力を発見しにきてください。きっとそこには感動があるはずです。

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