富士山からの湧水~1 忍野八海5~8番霊場

前回4番霊場までお話しましたので、本日は5番霊場から8番霊場のお話をしていきます。
*注 忍野村 東圓寺さんの資料を参照させてもらっている部分があります。

5番霊場 湧池

5番霊場 湧池 忍野八海の中で一番湧水量の多い池です。修験道の時代から霊場として使われていた池で忍野八海の中で代表的な湧水池です。優雅に泳ぐ鱒やその湧き水の透明度、4mの深さは圧巻です。富士山の伏流水の流れに手をいれられます。その水温を是非感じてみてください。竜王碑現存します。

伝説
昔、富士山が噴火した際、人々は焼け付くような熱のため大変苦しみました。そしてのどの渇きや人家の火事、また野火を消すためにと、人々が水を求めて叫ぶ声が天地の間に広がりました。このとき、天の一声で「わたしを信じなさい。そして、永久に私をうやまうならば、私がみんなに水をあたえよう」という大変美しい声が聞こえました。この声の主が木花開耶姫命と言われています。その後まもなく溶岩の間から水が湧き出し池となりました。人々はこの池の水を飲み水や水田に用いて今日にいたっています。また、毎年木花開耶姫命の祭りを行い、神輿をこの他の水で洗い浄めるのが恒例となっています。

八大竜王:徳叉迦竜王
[徳叉迦(タクサカ)」とは「視毒」などの意味を持つ言葉で、この竜王がひとたび怒り凝視すれば、人畜は直ちに絶命すると言われます。衆生の悪業を消滅させる竜王でもあります。

和歌の意味
尽きることなく滾々と湧く池水は、竜神様が未来永劫に守ってくださるので、いつまでも変わらず流れ続けることよ。

6番霊場 濁池

6番霊場 濁池 濁池の湧き水はそのまま阿原川に注いでいきます。まるで湧き水があふれんばかりに湧きだしているように見えますが、実際の湧き水は少量です。以前池が濁っていた時期がありましたが現在は綺麗に澄んでします。井戸水の流入という説明がされています。竜王碑消失のため新設。

伝説
もともと澄んだ湧水の池で、村人の飲料水となっていましたが、ある日、乞食のようなみすぼらしい行者がやってきて、池の地主の軒先に立って、一杯の飲み水を求めました。しかし、その家の老婆が乞食と思って無愛想に断った途端、池は急に濁ってしまったという伝説があります。しかし、その濁り水を器に汲み取れば不思議なことに澄んだ水に変わったといわれています。

八大竜王:阿那婆達多竜王
「阿那婆達多(アナバタッタ)」とは「無熱脳」を意味します。この竜王は雪山の頂の池に住み、四方に大河を出して大地に恵みをもたらすという、もっとも徳の高い竜王です。

和歌の意味
大空に、領巾(ひれ)がはためく竜宮城の姿が目に浮かぶようだ。その姿を見たくば、この濁池の水を汲んでごらんなさい。そうすれば見えるかも知れないよ。

7番霊場 鏡池

7番霊場 鏡池(鮗池) 富士山の姿が鏡のように映ると言われています。湧き水の量が少ないので確かに水の流れがほとんどありません。風がない早朝に行ったので綺麗に映っていました。竜王碑消失。新設されています。

伝説
鏡池の水は、すべて諸事における善悪を見分ける霊力があるといわれ、昔から村内で何かもめごとが起きたときには、事を万事まるくおさめるために、争っている双方がこの池の水を浴びて身を清め、祈願したといわれています。鏡池の水はその透明さと神秘的な力により、心の中の悪意や誤解を洗い流すと信じられていました。

八大竜王:摩那斯竜王
「摩那斯(マナシン)」とは「慈心」をあらわします。日照りが続く折、人々が七日間祈り続けると、雨を降らせ大地を潤してくれるという、慈悲深い竜王です。

和歌の意味
底まで澄んで、のどかに水を湛えるこの池は、富士の御山の頂の“このしろ池“の水が滴となって湧き出す尊い池である。(富士山山頂には以前”このしろ池”と呼ばれる池がありました)

8番霊場 菖蒲池

8番霊場 菖蒲池 かつては池には多くの菖蒲が自生していたそうですが、現在は外来種のキショウブ等がみられるそうです。竜王碑は池の中の小さい島に現存しますが、現在その小さい島には立ち入りが禁止されたので遠くからの撮影したものです。この池も鏡池同様に綺麗に逆さ富士が映っていました。

伝説
伝説によると、この菖蒲を身体に巻くと病気が治るといわれています。昔、この池の近くで暮らす若夫婦がいて、夫が肺病にかかってしまいました。妻は懸命に看病しましたが、夫の病は重くなるばかりでした。妻はもう神仏に助けを求める以外にないと考え、この池の水を浴びて身を清め、一心不乱に祈願しました。するとちょうど37日目に「池の菖蒲をとって夫の身に巻けば、夫を苦しめている病魔は必ず退散する」という神のお告げを聞き、妻はすぐにその指示に従い池の菖蒲を夫に巻くと、1か月もたたないうちに快復しました。

八大竜王:優鉢羅竜王
「優鉢羅(ウハラカ)」とは「青蓮華」を意味します。清らかな青蓮華を生ずる池に住み、人々に安らぎを与える竜王です。

和歌の意味
あやめ草の池と、その花の名を冠して呼ばれる池は、一面に咲き誇る様子が、誇り水面に映る渡る五月の青空を 鏡に映すかのように、見る人の心に感じさせるものであるよ。

以上で8つの湧水池のお話です。ただ単にきれいないけだなぁ~ではなく、その後ろにある伝説等の物語を知って訪れると、一味も二味も違って見えてくると思います。インバウンドの方に人気が高く、いつも混みあってます。ぜひ早い時間(早朝)に訪ねてみてはいかがでしょうか。

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