富士山からの湧水~1 忍野八海1~4番霊場

前回は世界遺産の構成資産としての忍野八海のお話をしましたが、今回は八海それぞれのお話をしたいと思います。一番霊場から順にお話していきます。
*注 忍野村東圓寺さんの資料を参照させてもらっている部分があります。

1番霊場 出口池

1番霊場 出口池 他の7つの池と離れた場所にあります。他の7つの池が北斗七星。この出口池が北極星を現す場所にあります。忍野八海の中では最も大きな湧水池で、富士山根元八湖巡りはこの湧水池からスタートします。他の7つの池とは比べ物にならないくらい静かで素晴らしい場所です。竜王碑、現存しています。

伝説
この池の湧水は「清浄な霊水」と呼ばれ、富士登山を目指す富士講信者はこの水で穢(けが)れを祓いました。そして、この水を携えることで無事に登山ができるという昔からの言い伝えがあり、堅く信じられてきました。このような理由から、別名を精進池といいます。

八大竜王:難陀竜王
「難蛇(ナンダ)」とはサンスクリット語で「歓喜」を意味します。常に国を守り、適切な時節に雨をもたらし 百姓を歓喜させる竜王です。

和歌の意味
天地開闢の昔から、変わることなく 富士の御山の霊水が滾々と湧き出ている。この出口池の、何と尊いことよ。

2番霊場 お釜池

2番霊場 お釜池 忍野八海では一番小さい湧水池ですが、豊富な水量があり水深4mあります。私の感想はまさにそれを感じました。深い!青い!少し怖いといったイメージです。釜の中で熱湯が沸騰するように湧水するという形状からこの名が付けられたといまれています。竜王碑消失のため新設。

伝説
昔、この池のほとりに年老いた父と美しい2人の娘が暮らしていました。妹娘が洗濯していると、池から大きなガマガエルが現れ、娘を水中に引きずり込んでしまいました。近所の村人を集めて必死で娘を探しましたが、いくら探しても娘の遺体すら浮かんでこなかったといいます。それ以来、父親と姉娘はお釜池のほとりにとどまって、妹娘の冥福を祈り過ごしたという悲しい話が残っています。この伝説から、お釜池を大蟇(おおがま)池ともいいます。

八大竜王:跋難陀竜王
「跋難陀(ウパナンダ)」とは、「善歓喜」を意味します。兄の難陀竜王と共に国を守り、百姓を喜ばせる竜王。また変じて人間となり仏の説法を説きます。

和歌の意味
霊山富士の麓に滾々と湧き出ている池の霊水は、此の世の罪や穢れを洗い清めて蒸発させてしまうという、まるでお釜のようであることよ。

3番霊場 底抜池

3番霊場 底抜池 榛の木林資料館(入場料300円)の中にあります。最近インバウンドの観光客が多い為、私が訪れるのはいつも早朝です。その時間は榛の木資料館がまだ開いてないので写真がアップデート出来てません。説明看板が世界遺産になる前の看板です。諸々申し訳ありません。竜王碑現存します(写真がありません)

伝説
この池で野菜や道具を洗う際、あやまって手から離してしまうと、渦に巻き込まれ消えてなくなってしまうと言われていました。そして、なくしたものはどんなに探しても見つからず、しばらくすると2番霊場「お釜池」に浮かび上がってくることがたびたび起こりました。村人たちの間では、この池で洗い物をすることは、神様が嫌っていて怒りをかうことになると恐れ、語り継がれました。

八大竜王:娑伽羅竜王
[娑伽羅(シャガラ)」とは[海]を意味します。古来、「雨請い」の本尊として人々の信仰を集めてきました。

和歌の意味
手に掬うやいなや、必ず此の世での罪が消えてしまうと、御仏が確かにお誓いなさっている霊水池は、この底抜けの池である。

4番霊場 銚子池

4番霊場 銚子池 名前の由来(伝説)を聞くまでは、正直忍野八海の中では地味な印象しかありませんでした。伝説を聞いた後は感じ方が変わりました。銚子の形に似ていたのが名前の由来で砂を巻き上げながら水が湧き出ているのが見えます。竜王碑現存します。

伝説
昔、ある家の花嫁が厳粛な結婚の最中におならをしてしまった。その音がすごく大きかったので、包み隠すことができず、年若い初心な花嫁はこれを深く恥じて、結婚式の席にいたたまれず、隙を見て席を抜けだし、銚子を抱いてこの池に身を投げたそうです。その後、花嫁の履いていた草履が池の水面に浮かんできました。また時折美しい女性の姿が底に映って見えることもあったといわれていました。この悲しい伝説が基になり、今では縁結びの池と伝えられている。

八大竜王:和脩吉竜王
「和脩吉(バースキ)」とは「寶」、または「九頭」を意味します。この竜王は九つの頭を持ち、妙高(須弥山)を守り、小悪をなす細竜を食して、人々の災難を除くと言われています。

和歌の意味
この銚子の池水を汲もうとすると、水面がざわめく。もとより(この池にまつわる悲話の花嫁の)ふるえ悲しむ心をあらわすかのように、さざ波を立てて流れる川のようだ。

本日はここまでとします。次回5番霊場から8番霊場までご紹介させて頂きます。
忍野八海、知れば知るほど興味がわいてきます。

さぁ!あなたも旅に出たくなったら、まずは宿探し!いい旅になりますように

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