富士山からの湧水~2 白糸の滝

富士山周辺には沢山湧水ポイントがあり、順に紹介しています。第2回目は国の名勝、天然記念物にも指定され、世界遺産富士山の構成資産でもある”白糸の滝”のお話をしていきます。白糸の滝が湧水?と思った方もいらっしゃっると思います。順にお話していきますね。

白糸の滝と音止の滝

皆さん滝といえば、流れてきた川が高低差がある場所を通る時に水が落下する状態が滝だとイメージしますよね。実際ほとんどの滝がそんな感じで滝を形成しています。
でもこの白糸の滝は違います。いやいや川も流れてたし普通の滝と同じように、地形の高低差で水が落下してたよ!という声も聞こえそうですが、それは白糸の滝のお隣にある”音止の滝”です。白糸の滝とは全くの別物で、こちらの滝は芝川という川が流れの途中で地形の高低差で水が落下してできた普通の滝です。

音止滝は確かに写真のように川の水が落下してできています。この滝もその水量と轟音。とても迫力のある素晴らしい滝なのですが、まずは今日の主役の白糸の滝のお話をしますね。

富士山の湧水の仕組み

では最初に、富士山の湧水の仕組みを簡単にお話します。現在私たちが見ている富士山ですが、その内部は4層に分かれています。資料1をご覧ください。時代の古いものから先小御岳→小御岳→古富士→新富士となります。私が勉強している頃はまだ先小御岳の存在が不確かでしたが現在ははっきり証明されています。富士山は4層から成り立っていて私たちが現在目にしているのは一番外側の新富士の部分を見ています。

資料1 富士山の内部(成り立ち)
資料2 白糸の滝の湧水の仕組み

この4層はそれぞれ富士山の噴火の時代が違うためその土の成分も違います。資料2をご覧ください。一番外側の新富士にあたる部分は玄武岩が主流で水を通しやすい地層です。白糸の滝周辺は白糸溶岩流とよばれています。雨水や雪解け水はこの新富士の地層を浸透していきます。その先に待ちかまえているのが古富士の地層です。この古富士地層は古富士泥流と呼ばれ水を通しにくい地層になります。そのため水は古富士の地層にそって先へ先へと裾野の方に流れていき、湧水地と呼ばれる場所で湧き水として地表に現れてきます。これが簡単な富士山の湧水の仕組みの説明になります。
では白糸の滝はといいますと、資料2をもう一度ご覧ください。まさにこれが白糸の滝の内面図になります。図の様に富士山に浸み込んでいった雨水や雪解け水は新富士地層を浸み込み、古富士地層の上を流れ、白糸の滝のある崖(壁面)からあふれ出し滝なって流れ出しているのです。というわけで白糸の滝は富士山の湧水からできている珍しい滝という事です。
ここでこの話は終わりにしたいのですが、ごめんなさい。実は100%富士山の湧水の滝ではありません。本滝の一部は芝川(音止の滝の川)から分岐した川の水が白糸の滝の壁面上部から流れ落ちています。なので100%ではありませんが、それでもとっても素晴らしい富士山湧水の滝といって良いと思います。

白糸の滝全景と整備への取り組み

白糸の滝自体はもちろんとても素晴らしいのですが、白糸の滝の整備への取り組み方がまたとても素晴らしいです。世界遺産の構成資産に選ばれた頃から滝周辺の整備がどんどん進んでいきました。メインの滝壺周辺の整備や滝見橋の架け替えも素晴らしかったのですが、特に感心したのは滝壺に降りる道すがらに並んであった昔からのお土産屋さんを全て撤去(移動?)した事です。古い観光地に有りがちなお土産屋さんの前を通らないとメインの観光ポイントに行けない作りでした。これを全て撤去することで雰囲気、自然あふれる本来の景色。とてつもなく改善されました。”本当にありがとうございました”とお伝えしたいです。同時に整備されたのが滝の上部への移動する導線。これにより滝上部からの展望とお鬢水への誘導もスムーズになったと思います。滝上部からの写真は既に載せてありますが富士山と滝を同時に眺められる絶景のポイントです。ここも昔は錆びた手すりがあっただけのひなびた展望台でしたが一新されました。そしてまだお話してないお鬢水。続いてこのお鬢水のお話をします。

お鬢水(源頼朝伝説)

滝壺から階段で上に登ると、まずは富士山と白糸の滝が同時に見える展望台に着きます。そのほんの少し先にあるのが”お鬢水(おびんみず)”と呼ばれる湧水池です。忍野八海と同じようにとても綺麗な透き通った湧水。さらにその池は少し道より下がった場所にあるので風の影響を受けにくい場所に有ります。その為水面がほとんど波立ちません。とっても美しい湧水池です。ではこの池の伝説です。

説明看板読めますか?富士山周辺では鎌倉幕府初代将軍、源頼朝が巻狩と呼ばれる軍事演習を実施していました。その時にここに立ち寄り鏡のような水面に鬢のほつれを映し、撫でつけたと言い伝えられています。と書いてあります。実際この周辺には源頼朝巻狩に関する伝説の地は沢山ありますので、ご興味にある方は是非訪れてみてください。
このお鬢水はとても綺麗なのですが、そこからはなんと白糸の滝を真近に見る事ができます。壁面から湧水があふれ出し滝になるとこ。芝川の水が壁面上部から流れ落ち白糸の滝に加わる様子が見れます。折角上まで登ってきたのですから、是非その様子も足元に気を付けながらご覧ください。

白糸の滝のお話をしてきましたが、今日は世界遺産の構成資産についてのお話ができていないので、次回は世界遺産の観点からお話をしたいと思います。

さぁ!あなたも旅に出たくなったら、まずは宿探し!いい旅になりますように!

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